カフェみくみく

まったりと生きる。時には忙しく時にはのんびりと。家事が好き書くことが好き。

正義の味方。

今回、私が父が倒れて学んだことは、
父は一人の人間だった。
それ以上でも以下でもなかった。
偏屈で、癇癪持ちで用心深く、暖かくはあったが頑固で厳しかった。世話焼きでわがままだった。
そして、この父以外に理想の父親がどこかにいるかというとそんなことはなく、
「お父さん」というものはみんな大同小異だった。
と言うか、人間にはみんな長所と欠点があって、完璧な人はいないのだった。
どこか性格が父に似ている私は、父のよくない部分を反面教師にして生きてゆくことにした。

 


正義の味方はあてにならない

 

 

フラット。

私は今まで、素晴らしい人間関係と言うのはすごく刺激的で、お互いをしばったり責めたり、コントロールしたりするものかと思い込んでいた。

本当は、いい人間関係とはもっとずっと静かでフラットなものだった。何よりも、お互いをどうこうしようとせずに、全きままに受け入れていく事だった。

人を、批判したり褒め上げることで操作したりされたりすることから、私はサヨナラした。

 


忌野清志郎 デイ・ドリーム・ビリーバー【高画質】

 

 

人を信じる。

父が倒れてからというもの、本当に片付けなくてはならない問題が多い。

私は、思い切って自分の手に余ることは手放して、

人に任せることにした。その際、大切なのはその人に感謝すること。相手の失態を責めないことだ。

人を、その人の欠けた部分まで丸ごと受け入れると、人は私を信じて動いてくれる。

 


椎名林檎 - 「カーネーション」 form 党大会 Short Ver.

 

 

受け入れる。

父の病状は、薄紙を剥ぐように良くなって来た。
それでも、今の父は強引で気難しかった父ではない。
些か、父は老いを受け入れたらしく、
「あと10年生きるのは無理だ」と言う。
だからお前達は、自分を穏やかにしかしはっきり主張することを学びなさいと言う。
病室で黙ってテレビで相撲を見ている父は、昔の父であってそうではない。
私は、この人がだんだんいなくなるのを受け入れようと思った。

 


「丸ノ内サディスティック」live english ver.

 

 

 

 

天上大風。

がらんとした父の部屋に行った。
慌てて来た弟が寝た、マットレスや毛布が敷きっぱなしだった。
私は、父の脱いだ服を片付けて、良寛和尚の「天上大風」と言う額と、安藤栄作さんの狛うさぎを大きな黒い鞄に入れた。
父のデスクの上には、般若心経と徳川家康の訓戒が貼ってあった。
私は思った。
たとえ、父がいなくなっても、父の教えてくれたことが私の中に脈々として生きていると。

空が高く、どこまでも果てしない風が吹いている。

 


椎名林檎 - 自由へ道連れ from 真空地帯

 

 

父。

父が倒れた。

管理人さんの連絡を受けて、ややこしいやり取りの後救急搬送で一緒に病院へ運ばれた。
ベッドの上で点滴を受けながら、変わり果てた父は、私を見て「子どもの成長には、親はなかなか気づかないものだなぁ」と言った。
私は思った。
この、様々な確執をも抱えた人が、私の詩作の見えない根っこになっていたのだと言うことを。

 


椎名林檎 - 幸福論